今回のテーマは「幾何学と代数系」の第6章から、「幾何学積とクリフォード代数」です。演習問題から出てきた疑問点の解決や、教科書ではサラッと流されている幾何学積を使った式の証明について苦しむなどしました。
勉強会の内容
勉強会の中で話題に上がったトピックを挙げます。
- 演習問題6.2の別解で計算が合わない。
- 外積(ウェッジ積)の場合、 \(a\wedge b = – b \wedge a \)が成立する。
- 幾何学積の場合、 \(a \cdot b = – b\cdot a\) は\(a, b\)が直交している時にしか成立しない。直交していない時は内積の成分が残ることになるため計算が合わなかった。
- 幾何学積において結合則、分配則は成立するか?
- p.112 命題6.4 [クリフォード代数系]において、クリフォード代数系は結合則を満たすものとすると記載されている。
- 分配則についても成立しそう(未検証)。
- p.117 式(6.30)の証明の仕方がわからない
- 教科書ではサラッと流されている。
- 証明には少し工夫が必要。
- p.118 式(6.31)も同様にあまり明らかではない。
- 前回の双対について
- 一般次元において双対でマイナスをつけない流儀もある。
- テンソル解析ではつけない。
- 教科書内で触れているベクトル解析は3次元に限定したもので、テンソル解析のようなものを指していると思われる。
- 現代においてベクトル解析というとn次元を対象にしているので注意が必要。
動画
GAViewerでの確認
前回と同様、GAViewerで動作確認をしながら教科書を読んだのでコマンド一覧をGistに残しておきます。
Gistに書いた疑問点についてはSlackで事前に解決してしまい動画では触れていないので、以下に書き残しておきます。
疑問点1 normalize関数の中で使われているnorm_rって何者?
「GAViewer Documentation Version 0.84 (PDF)」p.33にベクトルを正規化する関数として normalize(a) = a / abs(norm_r(a)) の記載があります。そして、このnorm_r(a)について下記の説明がされています。
- norm_r(a) = the grade 1 part of \(a\tilde{a}\)
\(\tilde{a}\)はDorstの本の定義によればベクトルの reverse のことで、 \(a = 2 e_1 \wedge e_2\) なら \(\tilde{a}= 2 e_2\wedge e_1 (= – 2 e_1 \wedge e_2)\)です。結局、この例の場合では norm_r(a)は\(e_1, e_2\)が両方打ち消されて4になります。GAViewerでの計算結果も4になるのですが、これは \(a\tilde{a}\) のグレード0のパートです。
また、GAViewerでのnormalize(a)の計算結果は \(1 e_1 \wedge e_2\)になるので、normalizeの説明としては normalize(a) = a / abs(norm(a)) が正しいことになります。
疑問点2 3重ベクトルにベクトル作用子で変換をしても変化しない?
端的にはこれは正しいです。後に出てくる共形空間の場合は、ローター(回転子)ではなく、トランスレーター(並進子)で変換をかけると変化することになります。
勉強会での取り組み
今回はSketchBoardのレスポンスが悪くなる問題が発生して本題に集中できなかったことが反省点です。次回までに原因を究明できると良いのですが、心当たりのある方はご連絡頂けると助かります。
良かった点としては、Google Hangouts OnAirの画面の固定がうまく機能した点です。これまでは話している人の画面や顔に切り替わっていたので、YouTubeで録画を見た人にとっては式展開やGAViewerの画面を確認しづらい問題がありましたが、これが解消しました。動画の30分ごろまでは画面下部に全員の顔が出ていて、何かの操作をしたあとからはこれが消えて画面共有が全画面表示に切り替わりましたが、なぜこれが切り替わったのかはよくわかりません。このあたりもうまくコントロールできるようになりたいです。
次回
次回のテーマは幾何学と代数系 第7章「同次空間とグラスマン−ケイリー代数(前編 )」です。