今回のテーマは「幾何学と代数系」の第7章から、「同次空間とグラスマン−ケイリー代数:前編」です。GAViewerで今まで知らなかった記述方法の共有から始まり、疑問点の潰し込み、無限遠点のイメージ、演習問題から発展した次元の話などをしました。報告を上げるのが遅くなりましたが2018年4月14日実施分です。
勉強会の内容
- GAViewerで計算結果を描画しない方法の共有
- これまで各文の文末には記号をつけていなかった。
- セミコロン “;” を行末につけると計算結果を表示せず、また描画エリアにも描画されない。例えば記号を定義したいが描画したくない体積要素 I=e1^e2^e3 を定義する際などに便利。
- カンマ “,” をつけると従来と同様に計算結果が描画される。
- セミコロン、カンマで文を区切ることで1行に複数文を記述できる。
- スクリプトを記述する際は、各行の末尾は必ずカンマかセミコロンで終わらないといけない。(改行は文の区切りとして判定されない)
- 疑問点1
- p.142 (7.29)の下の記述で原点e0からの距離が \(\frac{h}{|| n ||}\)と\(||n||\)が出てくるが、これはなぜか。
- ここで出てくるnは正規化されていない。p.25 図2.9のnは正規化済みのため、距離を出すためにはnのノルムで割って正規化する必要がある。
- 疑問点2
- p.143 (7.32)の下記の箇所の式展開で第1項の\(n_L\)にマイナスがつくと考えたが、勘違いだった。
\[
\begin{align}
\Pi &= (中略) \\
&= -e_0 \wedge ( n_L^* + p \wedge m) – p \wedge n_L^* \\
&= -e_0 \wedge ( n_L – (p \wedge m)^*)^* – p \wedge n_L^*
\end{align}
\] - 下の式から上へ展開すると考えると単純に双対がついただけで符号が変わらないことが明らか。
- p.143 (7.32)の下記の箇所の式展開で第1項の\(n_L\)にマイナスがつくと考えたが、勘違いだった。
- タイポについて
- 森北出版から正誤表が出されているので、参考にすること。
- p.139 式(7.15)の最後の項 \(x \wedge n^*\)の符号がプラスではなくマイナス(正誤表にない)
- p.131 のツール名GAViewer, CLUCalcが逆になっている
- 単純なタイポは正誤表以外にも見受けられるので、式展開が怪しい場合は鵜呑みにせず正誤表の確認と、載っていなくても間違っていることを疑うこと。
- 無限遠直線、平面のイメージ
- 書いていることはわかるけれど、使いどころはよくわからない。
- 無限遠平面は天球のようなイメージ。
- プリュッカー座標
- ベクトル解析では必要だった?
- ここでは名前は出てくるが、必ずしも後で使わない。
- 演習問題7.3, 7.4
- 自由度を考えると各ベクトルが3つの自由度を持っていると考えられるので、\(L=x \wedge y\)は自由度6、\(\Pi=x \wedge y \wedge z\)は自由度9と考えられる。
- 一方で下式からパラメータは\(L\)が6つ、\(\Pi\)が4つ。ただし、同次座標系のため、パラメータの比だけが意味を持つということから次元がそれぞれ1つずつ落ちて、\(L\)が5つ、\(\Pi\)が3つと考えられる。
\[
\begin{align}
L&= m_1e_0\wedge e_1+m_2e_0\wedge e_2+m_3e_0\wedge e_3 \\
&\quad + n_1e_2\wedge e_3+ n_2e_3\wedge e_1+ n_3e_1\wedge e_2 \\
\Pi &= n_1e_0\wedge e_2\wedge e_3 + n_2e_0\wedge e_3\wedge e_1 \\
&\quad +n_3e_0\wedge e_1\wedge e_2 + h e_1\wedge e_2 \wedge e_3
\end{align}
\] - これらの自由度とパラメータから議論がされていましたが、私はちょっと議論に追いつけませんでした。
動画
GAViewerでの確認
GAViewerで動作確認をしながら教科書を読んだのでコマンド一覧をGistに残しておきます。冒頭に書いたようにカンマとセミコロンを使いながら記述しています。
勉強会での取り組み
今回もSketchBoardの遅延が出ましたが、私の環境では出ていないようだったので、クライアント側の問題のようにも見えました。引き続き何か改善できないか実験していければと思います。
次回
次回のテーマは幾何学と代数系 第7章「同次空間とグラスマン−ケイリー代数(後編 )」です。